技術情報 Technical information

真空蒸着技術・スパッタリング技術 Technical Detail

真空中で金属を蒸発させ、薄い膜にした状態で樹脂成形品等の表面に付着させる加工技術です。当社では主にアルミニウムを用いております。

照明リフレクター(反射鏡)用途
自動車や住宅、店舗等の照明機器で使用されるリフレクター(反射鏡)の成膜に用いられます。特に、自動車ヘッドランプ(前照灯)用のマルチリフレクター(配光制御のため多面の反射板を組合わせた反射鏡)は、ドライバーの視界を確保し、乗員・歩行者・対向車等の安全を守るための、極めて重要な部品となるため、金属薄膜の膜厚の他、樹脂成形品の寸法・形状精度についても非常に高度な管理が求められます。また、変わったところでは、手術用照明のリフレクタに採用された実績もあります。
加飾用途
金属ならではの煌びやかな質感を活かして、自動車のランプや内外装部品、家電製品等の意匠性を上げ高級感を演出することを目的とした、加飾製品に用いられております。

南部化成株式会社の
真空蒸着技術・スパッタリング技術
3つの特徴
01
一貫生産による高反射率、高精度

専用治具の開発や、製造条件の最適化による金属薄膜の膜厚管理の他、金型磨き技術による樹脂成形品表面の面粗度向上、金型加工の高精度化、樹脂成形条件の最適化等、一貫生産という当社の強みを活かした、高度な技術の組合せにより、高性能なリフレクターを安定した品質でお客様にお届けしています。
02
多彩な加飾表現

加飾用途で用いる場合は、成膜する金属や、生地となる樹脂成形品の表面の仕上げにより、様々な加飾表現が可能です。 また、合成樹脂の特性を活かして、様々な形状の製品への加飾が可能であり、加工時にマスキングを施す事で、部分的な加飾も可能です。また、成膜後の表面を保護するハードコートを施すことも可能です。
03
標準化された工程による安定品質

薄膜を形成する技術である、真空蒸着加工・スパッタリング加工は、湿度、温度等の作業環境の少しの変化で品質に影響が出てしまう非常にデリケートな工法です。 お客様が求められる品質を安定して確保するため、工程内に各種センサーを用いた設備を導入し、従来の職人的な作業から標準化された作業への切替えを進めました。
南部化成株式会社の
真空蒸着技術・スパッタリング技術の活用事例

一貫生産体制を活かしリフレクターのコストを改善
従来は、真空蒸着・スパッタリング加工の前工程として、生地となる樹脂成形品にアンダーコート(下塗り)を施すのが一般的でしたが、一貫生産体制と技術の組合せにより、アンダーコートを廃止し、リフレクターのコストを改善することができました。

インラインスパッタリング工程を導入し多様な製品に対応
基本的に大量生産に有利な、抵抗加熱式の真空蒸着工程に加えて、多品種小量生産にも対応がしやすく、膜厚の細かな制御が可能なインラインスパッタリング工程を導入しており、より多様な製品に対応が可能となっております。

めっき加飾の代替として環境負荷を低減
廃液処理等の課題が残るめっき加飾を、真空蒸着・スパッタリング加飾に置き換えることで、環境負荷の低減が可能です。
よくあるご質問
Q
どのような樹脂に対して加工が可能ですか?
A
様々な樹脂に対しての加工実績がございます
熱可塑性の樹脂ではPCやAAS、熱硬化性の樹脂ではUP(不飽和ポリエステル樹脂)-BMCへの加工実績がございます。 また、透明なレンズ製品への加工実績もございます。
Q
反射鏡や加飾以外の用途はありますか?
A
多くの用途がございます
AR(Anti-Reflection、反射防止)コートやミラー(増反射)コート等の光学的な用途や、撥水・防汚コートや電磁波シールド等の機能的な用途など、新たな用途が続々と開発されています。